ストーリーの作り方についての考え方

ややこしいタイトルですね(笑)。
おひさしぶりです、こんにちは。蒼です。

ストーリーの構築の仕方についての、考え方のひとつをここで提示してみます。
「話のまとまりが悪い気がする」「伝えるのが苦手」という
悩みがある方の参考になればと思います。
ちなみに私も未だに「伝えるのが苦手」です!同志!!(大丈夫か…?)




私の世界観は独特だった(分かりづらいものだった)

私のキャラが思うことは、多くの場合普通の人とかけ離れているようです。
それが「主人公のために作ったキャラ」なら何の問題もないのですが
通行人の思考回路が普通と大分ズレている、という状態なのです。

例を挙げます。

・誰かに「あの~」と後ろから声を掛けられた→「はい?」を答える

これが私の普通でした。
しかし多くの場合

・問題を回避するため、無視する

らしいのです。
物語に登場する一般人の思考回路は、このレベルに合わせないと共感が得られません。
考えました。めっちゃ考えました。

「一般人を無理矢理作って、自分の物語に突っ込む」

これが私の出した結論でした。


「無理矢理作った一般人」は結局どうなったのか

人気者になりました。
そんな目立つパンピーはアリなのか!?と思いましたが、
友人の反応が流し読みで感想無し、は無くなったのでよしとしました(笑)。

Webで公開中の作品で行くと
蜜柑の香り」のソラヤマや「トリオシリーズ」のイインチョひな、
For You」の名を忘れた少女がそれに当たります。
他の作品にも存在していますが、この3作に対する評価が相対的に高いと感じているので
この3作だけにしておきます。


この私の中では不自然な一般人達は、作者にとってどういう存在になったか?
隙あらば無双を始める困った奴になりました。
ひなとソラヤマは特に、その傾向が顕著ですね。

こういうキャラを自分の漫画に投入するようになってから、
少なくとも知り合いには真面目に読んでもらえるようになりました。

ここで重要だったのは
「創作するときに、物語の視点を読者に合わせる」ことです。
しかしこういうキャラを作るだけでは、まだまだだったのです。


メインストーリーをサブストーリーでカモフラージュする

ぶっちゃけ「伝えたいテーマを設定しない」ことでした。
何を思われてもいいや、と。
ストーリーとテーマは少し違います。
長編の場合は、「とりあえずのテーマ」が無いと話が成立しなかったり
物語がブレブレになるので、伝えたいことが特になくても「テーマ」の用意は必要です。

「蜜柑の香り」の場合は
(テーマ:次世代育成)
・サブ:駆け引きの世界を知らないカナが、世間について詳しくなっていく話(成長する話)
・サブ2:外の世界に行けなくなったチハルが、冒険する話
・メイン:ヒイラギという駄目男を周囲が一生懸命頑張ってまともな思考が出来る人にする話

「トリオシリーズ」では
・サブ:トリオの活躍(カツアゲからの救出など)
・メイン:目標だけ一致していて考え方が違う3人が親友になる話

※イインチョが無双してる話はインターバル回なので深いことは考えてないです。

「For You」では
・サブ:消失したあとの世界での恋愛成就
・メイン:逆らえない力に対してどういう考え方をすればいいのか、という一例


どの話も見事に後から付けたサブストーリーの方への感想が多いです。
さてどういう話かと言いますと
「自分の『変わっているところ』」と「一般的思考(テンプレ)」を合体させたのです。
ミスリードのさせ方の応用というか、全編ミスリードです。

これが出来ないと「無理矢理作った一般人」が機能せずに不発っぽい感じになります。
閲覧数とか、反応とか(笑)。
この「不発っぽい感じ」が「まとまりが悪かった」証拠のひとつです。
その辺はたくさん作品を公開して実験してみて下さい。


全編ミスリードのやり方

簡単です。
「よくある話を、自分のやりたい話と並行して進める」
「よくある話の方を強調する」
これだけです。

話を融合させるのではなく、交互に進行してどちらも完結させることで、
「中途半端感(=まとまりが悪い)」を回避出来ます。
「よくある話」は共感されやすいので、
そちらを目立たせておけば「分かりやすい話」になる可能性が高いのだと思います。
私も、この辺はまだまだ研究中ですが、やるのが簡単なことだけは、もう証明されました。


無理矢理作った一般人キャラの役割

自分の「当たり前」と読んで下さる方の「当たり前」を近づけて、
自分が作ったストーリーに興味を持ってもらう為の「橋渡し役」です。

作者と読者の間には川が流れていて、
私はそこに橋を作ろうとしていたんだなと、後で気付きました。


ストーリーの完結のさせ方

「不動のオチを決めておく」ことだと私は考えています。
これは「冒険が終了する」とか「告白が成功する」といった漠然としたことではなく
「カナが目覚めたら周囲に弄り倒される(蜜柑の香り)」とか
「幸せになったと思ったら、いきなり世界の電源を切られたように見える(For You)」とか
かなり具体的なものである方が理想的だと思います。

何故なら、人間は具体的な目標がある方がやる気が出るからです。
いかに私が変人だったとしても、
さすがにこういうところは普通の人と同じです(笑)。


仕掛けの作り方

「露骨すぎる罠のすぐ後に本物の罠を仕掛ける」です。
基本的に、読んでくれる人は主人公側が勝ってくれると信じています。
負けても再戦では必ずいつか勝つと信じています。

なので「主役側が負ける」のは最も陳腐なシチュエーションとも言える訳です。
それでは「負けそう」な気がしないですよね?

そこでトリオシリーズ1話目になってしまった(最初は読み切りのつもりでした)
「結成!台風三人組」では「鞄投げ」を2回やりました。
愛田のことを忘れてもらうために(笑)。
もうこいつら2人でなんとかしちゃうんじゃ無いの?という雰囲気に。


「For You」では
「南里をボケさせ」ました。
実は現代語が通じているのに普通の人と暮らしている時点で
ただ者では無いはずなのですが、
「靴下をはいているので靴いらない」と言わせたので
彼がなんらかの監視者であるというのに気付かなかった、と言ってもらえました。
南里をボケさせるのには作者的には抵抗があったので、
無理にでも露骨な罠を仕掛けた甲斐があったってもんです。


「蜜柑の香り」はバトルが多かったので
ちょっともう全部は思い出せませんが(作者にとっての想定外も多発しましたし)
慣れたら出来るとしか言えなくなってきます(苦笑)。

バトル以外では当然「カナが眠る」シーンをカモフラージュするために
「死ぬか大怪我」を強調し、
「カナは割と聞き分けが良い、人が困ることはしない」と見せかけて
ほぼ最後にアレです(笑)。
ただし前述の通り「主人公は死なない」という先入観はひっくり返せないため、
「死の気配」はスープで言ったら塩胡椒の加減程度のネタです。
それをメインに据えようとすると、途端に面白くない話一直線なので、
メインに見せかけつつギャグを挟んだりします。
ただ、必中の予知を強調した分、反動は相当のものなので
「10年」というペナルティを与えています。まぁ、それでもカナは幸せでしょうけど(笑)。
また、強調しすぎて伏線にならないため、「カナが助かる」ことを
読み手が想像しようと思えば出来る要素として「ヒイラギの寿命が短い」があります。
「やらない」と言っていたことをやらせるのは、
長い話であれば1回、つまり「最初で最後」にするのがいいと思います。
約束を破りすぎるキャラは信用できませんしね。



んで、作ることに慣れてからが創作の本番で、
慣れてから「作者にとっての想定外」が発生するようになり
「作者にとっての想定外」が多く発生した作品ほどウケがいいな、と私個人は感じています。


まとめ

「テーマが伝わったかどうか」なんて、実は重要では無いのです。
それ以前に、創作物があふれかえっていて「最後まで読まれない」時代になっています。
なので「読んでもらうためにどうするか」を考えた結果、
「一般的っぽい要素」と「自分らしい要素」を融合させるという方法を私は選びました。
混ぜ加減は難しく、必ず成功する方法はありません。
ですが「必ず成功作を出す方法」ならあります。

数打ちゃ当たる です。

量産すれば「慣れ」るのも早くなりますし、
大事な一作にこだわりすぎず、たくさん作ってたくさん外して、
当たったときに思い切り喜ぶのもアリだと、私は思います!


ありがとうございました。

  • 最終更新:2016-07-17 19:16:30

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